マニキュアを視界に入れて

鬱症状がひどい時は寝たきりで何もする気がおきない。と言うより、何もする気が起きないという意識もない。あらゆる感覚が鈍麻している。

 

少し体を起こせるようになってくると、爪を齧ったり皮膚をむしるようになってしまう。中途半端に覚醒している自分が気持ち悪いのだろう。完全に覚醒してないと、ストレスに対して無防備な気がしてくるのだ。

 

ただ、自分を傷つける行為が良いとは思っていない。スッキリするけど痛いし、見た目も悪いし。鬱々とした状態だと、目線が下を向く。手元が否応なしに視界に入る。

 

視界から入る苦しさを消すために、マニキュアを塗ることにした。マニキュアを塗った爪では、自傷行為をする気にもなれない。何より、キラキラした色は自分の意識を彩るのに十分だった。

 

ツンとした匂いは心地よいものではないが、目を覚ます作用があると思う。鮮やかな色を爪に塗る行為も、適度な集中力が必要で丁度良い。心身の調子に波があるけれど、少し目線が下を向いた時に爪がキラキラしていると自己肯定感が上がる。

 

どん底の調子の時は、マニキュア塗る行為なんてできないから、心のバロメーターになるのも良いなと思った。

 

爪が伸びてきて、そろそろ塗り直さなきゃいけない。今度は何色にしようかな。寒い季節だから暗い赤にしようかな。パールっぽい明るい色にしようかな。手元から生活を彩る楽しさを知った。f:id:miumimimi:20221101215515j:image