名前で呼びかけること

私の仕事は、いわゆる対人援助職だ。

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仕事上、「〇〇さーん」と呼びかける事も少なくない。関係性にもよるけれど、一歩踏み込みたい時は、苗字ではなく名前で呼ぶ。

 

馴れ馴れしく思われることもあるだろうし、それが正解だとは思わないけれど、その人を役割から解放できる魔法の言葉だとは思っている。魔法は万能じゃないけれど薬になるのだ。

 

人間は大なり小なりコミュニティに属する生き物だし、役割で呼ばれることもある。「お母さん」「お父さん」「先生」「社長!」とか。

 

役割を否定しているわけではない。でも、たまに役割を真面目に遂行しようとしすぎて、ボロボロになってしまう人がいる。そんな時、苗字ではなく名前で呼ぶ。すると、ハッとした顔になって悩みを打ち明けてくれることがある。もちろん、名前で呼ばれる事にびっくりしたという人もいるだろうけど、一歩垣根を越える瞬間でもある。

 

話は変わるけど、祖母は地域コミュニティの仲間が多く、下の名前で呼ばれていることが多い。田舎は同じ苗字が多いのも理由だとも思う。でも、それとは別に、歳を取ると名前で呼ばれることが少なくなるという話を聞いて、自分が関わる人の名前を呼ぶ機会を作れたらなとしみじみ思った。